ガータートス。

申し添えておきますが、「ガータートス」に使うガーターベルトは一般的なストッキング吊り下げ用のものではなく、レースでひらひらのゴムの輪っか状のものです。ちょっと手先の器用な人なら簡単に作れそうな感じ。結婚式に纏わる「これをすると幸福になれる」という言い伝えの中に「何か青いものを身に着ける」というのがあるらしく、このガーターには青いリボンなどを飾るのだとか。
普通一般のガーターベルトの形状を思い浮かべ「あんなものをどうやったら手を使わずに外せるんだ?」と不審に思った方々の疑惑はこれで解消されたと思います。あとは実行あるのみです。

ところで従姉妹の結婚式用コサージュを母が購入していました。銀色と白のくるくるした花に黒い羽が添えられていてなかなか素敵でした。少し大きめのコサージュですが服がかなりシンプルなので良いのではないかと思います。母は今日は髪も染め、儀式に向けて着々と用意は整っているようです。今日の夕飯の席では「新元素を発見した人々のいるリケンって、ふえるワカメを作っているリケンと同じところだよね。リケンってワカメの会社じゃなかったんだね」と発言し、私や弟を涙が出るほど笑わせてくれました。そのリケンは理研です、お母さん。あとは母の課題は「人の人生の門出の式で面白発言をして恥をかかない」ということだけだと思います。


この母を産んだ祖母というのも大変愉快な人なのですがまたもや妙なことをしていたらしいので書き留めておこうと思います。
祖母は九州南端の温泉の良く湧き出る大変閑静な町に住んでいるのですが(父方も母方も)結構な田舎な為、旧い因習が結構残っているのだそうです。先日は近所で新居の棟上がありそこで「餅撒き」が行われたのだとか。祖母は大張り切りで出かけお餅が撒かれるのを今か今かと待っていました。だいたい「餅撒き」に出席するのは小学生くらいの子供か、主婦か、おばあさんが主流で、それぞれ「撒かれたものを飛び上がって受け止める者」「エプロンの裾などを広げ、そのゆったりした布に受け止める者」「地面に落ちたものを拾う者」に分けられます。最も体力的に弱いものが「地面に落ちたものを拾う」のですが、うちの祖母はこれを狙って虎視眈々と地を睨んでいました。やがて「餅撒き」が始まり、子供が走り回り主婦が右往左往し老女が地面に這いつくばりました。しかし獲物は空中で取られてしまうのが殆どでなかなか祖母に手を出せるものがありません。目を皿のようにして探していると目の前に白いお餅がはらりと落ちてきました。「これだ!!」とすかさず手を伸ばす祖母。するとそれに折り重なるように小さな小学生の手が重なったのです。
「僕のお餅だ!」
「これはおばあちゃんのだよ」
「僕が取ろうとして落としたんだ」
「これはおばあちゃんの! だっておばあちゃんの手の方が下にあるでしょう」
・・・・・・。我が孫よりも幼い(一番小さい母方の従兄妹は中学一年生)子供と対等に張り合う私の祖母。うーん。世の中にはこういう老人もいる、と諦めたのかそのお子様は祖母にお餅を譲って立ち去ったそうです。
ちなみに父方の祖母は「今日は何処其処で餅撒きがある」と聞くと予定の30分前には現地に行って下見を兼ねて待機しているそうです。餅撒きってそんなに必死に取り組む行事なんですか? こう、70代や80代のおばあさん方の心を動かす何か不思議な力を持っているんですか?

あ。件の「ガータートス」について話したところ「それはお日様の下で行っても良い行為なのですか?」と尋ねられました。彼の頭の中にはきっととんでもなく卑猥な状況が浮かんでいたのだろうと推測されます。反省なさい。