さんすう、すいすい。

アルバイトで学習塾の先生をしています。私は小さい子供があまり好きではないのですが「若い女の人なら子供が好きだろうし、上手く相手も出来るだろう」という世間の勝手な思い込みが祟って小学二年生のさんすう(算数ではない。勿論数学でもない)を教える羽目になっています。高校時代までを私と共に過ごした人々は「更紗未々が算数?!」と呆れ笑います。ふん。どうせ、私は途轍もなく数学が苦手でしたよーだ。でもまぁ、ものが「小学二年生のさんすう」なので、どうにかこうにか、私でも勤めを果たしてきていたわけです。
今日の授業は二学期初日ということなので「さんすうパズル」みたいな頭の体操テキストを使うこと、と指示がありました。早速指定のページを開ける私。

「むこうぎしにわたろう!」
下の4ひきのどうぶつたちは、一台のボートでむこうぎしにわたりたいんだ。だけど、このボートには2ひきまでしかのれないよ。ぜんぶのどうぶつがむこうぎしにわたるには、どんなじゅん番でボートにのればいいのかな。どうぶつたちの話をよく聞いて、答えのボートに、のるどうぶつの名前をかいてね。
ぞうさん:ぼくは重いので、ねずみくんとしかのれないよ。でも一人でのるのはいやだな。
ねこさん:ねずみくんとはなかがわるいから、いっしょにはのれないんだ。
いぬさん:ボートをこぐのは、けっこうとくいだよ。
ねずみさん:ぼくは体が小さいから、一人でボートにはのれないんだ。

さあ、皆さん解いてみてください。
ちなみに小学二年生に「やってみましょう」と言ったら「いぬとねこも仲が悪いはずだ」「いぬは犬掻きが出来るからボートになんか乗らなくたっていいと思う」「ぞうはこんな川くらい歩いて渡れるに決まっている」などと言い出し、まったく問題の趣旨を理解してくれなかったので泣きたくなりました。
ちなみにこのテキストには解説がありません。「答えが一つにならないよぅ。おかしいなぁ」と泣きそうになりながら解答を確認したら「別解:『いぬ』と『ねこ』は入れ替えても構いません」と。何てことだ。酷いよぅ。さんすうなんか大嫌いだ。
こんな彼らと一緒に私は来週から小学二年生の算数における最大の難関、「掛け算九九」に挑まねばなりません。どうしよう。誰か「掛け算」って何か、小学二年生に理解できるように(←ここが最も大切)説明するにはどうしたら良いか教えてはくださいませんか? はぁ。

しかし、私は一週間の内でたった一時間半、三人のお子様を一度に相手にするだけでぐったりするのですが、世の小学校の先生方は40人学級を一人で面倒見ているのですよね? どんな凄い技を使っているのやら。今私が最も尊敬しているのは小学校低学年の担任の先生と幼稚園の先生と保母さんです。でも私のしているのも保母さんに近いなぁ。小学校低学年は子供だけでお弁当を食べさせると(テストのある日とかはお弁当持参だったりする)何をするかわからないので一緒に食べなくてはならないのですが、必ず何かを巻き上げられます。そしてお弁当を持ってきている日は子供の頭の中はお弁当でいっぱいなので誰も授業を聞いてくれず「お弁当の蓋、開けてみても良い?」とばかり聞かれます。泣きたくなります。めそめそ。