動物園


「いちばん怖いもんをみたかったんや──好きな人ができたときにこうやって。もしできんかったら一生本物の虎は見られへん。それでもしゃあないと思ってた」


虎は暑さにへたばって、腹這いになっていた。麒麟は炎天に棒立ちになって舌を出していた。金で売り買いされた「商品。」として、死ぬまで生きることを強いられた生物たちである。


お仕事で動物園に行ってきました。
中学生のお嬢さんたちは奇声を上げながら猿と会話したり、喋るオウムと「こんにちは」大会をしたりしていました。
私は高校生のときに上野の動物園でパンダを見て以来の動物園体験でしたが、思ったよりも面白かったです。あらいぐまがかわいかったし。ライオンも愛想がよかったし。虎は仲間がいなくてたった一人でうろうろしてました。頭に黄色いヘルメットを被ったようなオオサイチョウという熱帯の鳥がいたのですが、「神様の失敗作」という異名があるそうです。かわいそうに。

五月にもう一度行くときには、せめて暖かいといいな。