遅ればせながら。

ちゃんと卒業できました。私の学校では「学校全体の卒業式」→「学部の祝賀会」→「学科の卒業式」という面倒くさい流れになっていて、「学科の卒業式」に出ないと学位記がもらえないため(その日の朝まで知らなかった。昼過ぎに式が終わったら夜の追い出し会まで遊びに行けるものと思っていた)あっさりやる気をなくし「もう、最後の『学科の卒業式』だけ出るようにしようかな」と発言して一緒にいた優等生kくんに窘められたりしました。「あなたね、これから何度も入学式とか卒業式とか、そういうのに出るんでしょ。校長先生のお話とかちゃんと聞いてなきゃいけないんでしょ? いいの、そんなんで?」って。反省しようと思いました。
で、いやいやながら出席した「全体の式」では大層面白い光景が繰り広げられていたので、苦痛が半分になりました。式典の最中、学校の偉い先生(役職がついているような方々)は壇上に座っておられるのですが、私のI先生(先生はほとんど一番偉いクラスなので最前列のほぼ中央に陣取っておいででした)の挙動がどうもおかしいのです。お友達とひそひそと観察した結果「先生は寝ておられるらしい」との結論に達しました。俄然興味は「先生がいつ椅子から転げ落ちるか」と言うことに。わくわくして見ていましたが、先生は拍手のたびに起き上がるのでそういう愉快な場面は訪れませんでした。でもねー。あの来賓の祝辞はどうかと思いますよ。私、外国語なんて一ミリもわかんないんだから。どうせ通訳つけるなら、最初から日本語の文章だけ読めばいいじゃないかー。それも、通訳の人が要約して三分に纏めてあると尚宜しい。
続いて、祝賀会に出席。件のI先生が弱冠22歳くらいの男子大学生を押しのけて間断なくご飯を召し上がっているのを見て驚嘆しました。狂い猫さんやあり姫にも会いました。黒ドレスの狂い猫さん。袴のあり姫。素晴らしい思い出になりました。ほくほく。
そのあと、学科の卒業式に出て漸く学位記を戴けたのですが、そのためには一人一人挨拶をしなければならなくなったのです。またもやちょっとでも風変わりなコメントをしようものならそれにすかさず茶々をお入れになるI先生は凄いと思いました。学部のお嬢さん方がみんな袴で可愛らしかったです。私は実は、学位記を貰うまで自分の卒業に自信が持てなかったのですが、本当に証書だの免許証だのを頂戴できて大層ありがたいと思いました。良かったー。
一つ学年が下の皆さんがお膳立てをしてくれていた追い出し会に出席する為天神へ。「卒業生は先生方の隣の席が割り当てられるらしい」という恐怖の噂が私に限っては見事外れ、私はI先生の隣の隣。k先生のお向かいに座りました。早速地震の話で盛り上がる面々(ほら。今更お勉強のことを言ったってもうどうしようもないし)k先生が「うちの猫は地震の時・・・・・・」と猫さんの話を始めたら、すかさずI先生もそれに加わり、「地震と動物」の話になりました。私は唯一知っていた「地震と動物」ねたである狂い猫さんのおうちのねこさんの話をしたら「それはかわいそうにねぇ」とI先生が仰っていました。先生があんなに慈悲に満ちた表情をされるのを私ははじめて見ました。その後も先生は「挨拶はもっと飲んでからにしよう」とか「我々をアカハラだと訴えないように」とか、学科の卒業式での挨拶でちょっと涙ぐんだ人のことを指して「何だ、あいつはまた男に逃げられでもしたのかと思っていた」とか、なんと言うかこう、先生らしい発言をお続けになり、「きみの飲んでいるそれは何か? ジントニック? おねえさん、ジントニックをもう一杯!」とじゃかじゃかお酒を与えてくださいました。ふぅ。私、先生のことをずっと「ちょっと離れたところから、凄いなぁ、格好いいなぁ」と思って見て居たい、と思っていたのですが、もしかしたらこういうのを畏敬の念というのだろうか、とか考えてみました。
で、お花や記念品(卓上ライトでした。可愛いのです)を戴いて、ぽんだ先輩始め様々な意味で私にとって「敬愛する先輩・後輩」であるところの皆さんとの会食に呼んで戴けました。なんだか図らずも「一筋縄ではいかない敬意」ということを考えたりした卒業式でした。