更に思い出した。

ありのりくんに深い同情と理解を寄せている杜塚くん(でもきっと、そういう感情の所以は初対面にもかかわらず晩ご飯を奢って貰ったからだと思いますが)ですが、ありのりくんに出会う前、私やO嬢経由で彼の人となりを想像していた時分には、私とそう変わらない人物評をしていたようでした。

それはありのりくんから「O嬢と結婚式で着るドレスの試着に行った。もう、O嬢は可愛くてくらくらした」とかのろけ電話を貰い、私が悪態を吐いていた頃のことです。
「今日は僕は見るだけのつもりでついて行ったのですよ。そうしたらO嬢が素敵に着飾って現れめろめろっととろけてしまいました。そんな僕に着付けのお姉さんが『新郎さまはこれを着てくださいね、写真を撮りますから』と言ったんです。その日、僕は黒い普通のTシャツにジーンズ。それじゃ婚礼衣装は着られないから変な前掛けみたいなのを着けられて、上着を羽織り、写真に収まったのです。あれは辛かった」
とありのりくんが言ったので私はすかさず「まぁ、お姫様と奴隷みたいね」と答えておきました。
で、翌日その話を杜塚くんにし「お姫様と奴隷。あはははは。見てみたいなぁその写真」とか言っていたら、彼はさらりと「え、だってO嬢とありのりくんっていつも普通に『お姫様と奴隷』みたいなもんなんじゃないの?」と言いました。ほっほっほ。自分だけ良い子になろうとしたって駄目ですよ。杜塚くん。

でもこれって、あまり間違いじゃないと思うなぁ、ねぇ、じぃじさん?